WordPressの罠:日本のゴルフツアー・送迎ビジネスの事例から学ぶ、「見かけ倒し」のWebサイトを「稼げる最強の武器」に変えた方法
日本向けのゴルフツアーおよび送迎・レンタカービジネスを展開されているお客様のプロジェクトを終えて、今、深い感慨を抱いています。 現在、海外ビジネスを展開されている多くの経営者様が、サイト構築の際によくハマってしまう最大の落とし穴があります。それは、「ビジネスサイトを単なる見かけ倒しの飾りにしている」、あるいは「シンプルな話をわざわざ複雑にしている」という点です。
今日はコード(技術論)の話はいったん置いておいて、私たちがこの日本向けゴルフツアー・送迎ビジネスのお客様をどのようにサポートし、使えば使うほど重荷になっていた「お荷物サイト」を、本当に手のかからない、現場で戦える「ビジネスの最強の武器」へと生まれ変わらせたのか、分かりやすい言葉でお話しします。
一、「ウェブページを作る」という古い思考で、会社の「コアビジネス」を構築してはいけない
このお客様が最初に私のところに相談に来られた際、ご要望は非常にシンプルでした。「既存のサイトは WordPress に Elementor(直感的にページを組み立てられるノーコードのページビルダープラグイン)を組み合わせて作ったものだが、新しいツアーコースのページをいくつか追加してほしい」というものでした。
しかし、サイトの管理画面(バックエンド)を確認した私は、その考えをすぐに思いとどまるようお伝えしました。 多くの経営者様は、最初は手軽だからという理由で、こうしたツールを使ってページをパズルのように組み立て、1つのコースごとに1つのウェブページを作成してしまいがちです。最初の2〜3コースならまだしも、将来的にゴルフツアーが20コース、50コースと増え、車種も何十種類と増えたらどうするのでしょうか?
- 新しいコースを追加するたびに、わざわざ外注してレイアウトやデザインを調整するのですか?
- 料金や車両のスペックを少し変更するだけで、すべてのページを1つずつ手作業で修正するのですか?
このようなアプローチは、本質的に「コンテンツ(情報)」と「デザイン」がガチガチに紐づいてしまっており、後々のメンテナンスコストが底なし沼になってしまいます。
そこで私が出した提案は、「データ」と「テンプレート(デザイン)」を完全に切り離すことでした。 ゴルフのツアーコースや送迎の車種データは、本質的には「構造化されたデータ」であり、1枚ずつの融通の利かないウェブページではないからです。
私たちはサイトの設計(アーキテクチャ)を一から見直し、コースと車種をそれぞれ独立した管理画面の入力モジュールに改修しました。これにより、現在そして将来的に、たとえ日本国内のゴルフ場コースを100ルート追加することになっても、ページを作成するために開発会社へ1円も支払う必要はありません。スタッフが管理画面から、まるでエクセルに記入するように「ゴルフ場名、車種、料金」を入力するだけで、表側には自動的に美しく整えられた標準化ページが生成されます。
サイト構築とは、単に納品して終わりではなく、お客様の将来の運用における「手間の削減」と「コストカット」までを見据えて行うものなのです。
二、目先の見積もりだけで決めない。明日の成長を見据えた「余白」を残す
お客様の現在のコアビジネスは「ゴルフ特化型のチャーターカー/送迎ツアー」であるため、現在の料金システムは非常にストレートです。基本的には「車両1台あたり1日いくら」という計算ロジックです。この部分は非常に堅牢に作り込んであり、海外のお客様がアクセスした際にも一目で理解できるようになっています。
しかし、ビジネスを最も理解している技術パートナーとして、サイト構築時に目先のステップだけを見ているわけにはいきません。ゴルフ観光という業界は、実はビジネスモデルの変化が非常に激しい世界です。 もし半年後や1年後に、お客様が「車両の提供」だけにとどまらず、ゴルフ場のプレーチケットやホテルを含めた「パッケージサービス」を開始し、「特定のルート + 参加人数」に応じた総合的な見積もりシステムが必要になったらどうでしょうか? もし最初にコードをガチガチに固定して書いてしまっていたら、その時にまたすべてを白紙に戻して作り直すことになり、数十万〜数百万円の開発費が再び飛んでいくことになります。
そのため、このツアー見積もりシステムを設計する際、私たちは最初から「マルチモード見積もり」に対応できる拡張性の高いアーキテクチャを採用しました。
- 現在必要なもの: 完璧なフリート(車両)の1日あたりレンタル料金ロジック。
- 将来のために残したもの: 「ルート + 人数」に応じた段階的(ボリュームディスカウント対応)見積もりモジュールをあらかじめ実装。
現在、この将来用のモジュールは非表示(無効化)にしていますが、将来お客様のビジネスが拡大した際には、いつでもシームレスに有効化できます。このような互換性・拡張性こそが、「カスタム開発(オーダーメイド)」の本当の価値であり、企業の未来の野心をしっかりと支えることができるのです。
三、華美で見せかけだけの演出はいらない。ビジネスサイトにはビジネスサイトの「あるべき姿」がある
多くのWeb制作会社は、経営者様に「クールなアニメーション」や「華麗なVI(ビジュアルアイデンティティ)デザイン」を提案し、いかに高級感や先進性があるかをアピールして説得しようとします。 しかし、ここで一つ不都合な真実を言わなければなりません。「企業のイメージ重視のコーポレートサイト」と「成果を出すビジネス特化型サイト」は、全くの別物です。
海外のお客様がはるばるGoogleで検索し、お宅のゴルフツアーサイトにたどり着いたとき、その目的は「あなたの会社の企業理念がいかに偉大か」を見たり、「ウェブページの動く演出がいかに派手か」を評価したりするためでしょうか? 違いますよね。彼らは「どのゴルフ場に行けるのか、どんな車に乗れるのか、いくらなのか、どうやって予約するのか」という情報を探しに来ているのです。派手で見せかけだけのビジュアルに気を取られてしまうと、最も重要なコアビジネスの情報が埋もれてしまいます。
今回は日本市場向けのビジネスであるため、私たちは「土地の利」を考慮しました。日本のユーザーは情報の「正確さ(緻密さ)」と「分かりやすさ(透明性)」を極めて重視します。そのため、全体のビジュアルには徹底的に引き算を行い、非常に洗練された「和モダン・ミニマリズム(日系简约风)」を採用しました。
- 視覚的な引き算(減法): 閲覧の邪魔になるポップアップウィンドウや、無駄に派手なアニメーションをすべて排除。
- 情報量の足し算(加法): 車両の荷室の広さ(ゴルフバッグが何セット積めるか)、行程のタイムライン、明確で透明性の高い料金の内訳(含まれるもの・含まれないもの)を強調。
文字を読みやすい大きさにし、表をスッキリと整理して、「お客様が3秒以内にすべての重要ポイントを理解できる」ようにすること。これは、どんなに華麗なビジュアル演出よりも100倍強力です。
最後に伝えたいこと
この新サイトがリリースされてから、お客様は管理画面から新しいコースを非常にスムーズに登録できるようになり、海外ユーザーからの問い合わせフォーム(インクワイアリー)も、以前より具体的かつ漏れなく入力されて届くようになりました。
B2Bや海外向けのビジネス特化型サイトを作る上で最も恐ろしいのは、技術者が「コードを書くことしか知らず、お客様に言われた通りにしか動かない」ことです。その結果、出来上がったものは一見要望を満たしているように見えても、実際に運用を始めると至る所でボトルネックが発生してしまいます。
私たち TiHUBB では、常に「プロダクトマネージャーの思考」でお客様のビジネスモデルを徹底的にディスカッションし、それを「確かな技術力」で具現化することにこだわっています。見せかけのハッタリではなく、お客様のビジネスの長期的なメンテナンスコストを削減し、海外のお客様に対して「本物の信頼感」を築き上げること。それこそが、私たちのサイト構築における究極の目的です。
By : TiHUBB